雑伊のユリイカ


 ……要は、何を考えてカップリング・雑伊にたどりついたかって話なんですけど。

 某月某日、落乱にハマり、かつ何て言うか善法寺伊作氏に創作魂に火をつけられた結果、
 まあ当然のことながら伊作絡みでカップリング考えてたわけなのですが。
 そもそも友人連中は留伊が多かったわけですよ。まあそりゃ納得だ。私も好きさ。
 でもなんか気になって仕方ないのが雑伊だったわけで…。

 しかし私、雑伊を考え始めた当初は雑→伊でしたね、どっちかってと。
 「よくわからない」が根底にありつつ、うっかり「(とくに保健委員長)」とか見ちゃうとねえ。うん。
 てゆーか、雑渡さん何なんだろうと思ってました。
 それはカップリング絡めて考える以前のところで、そもそも雑渡さん何考えてるんだろうと…
 ていうかあのひと謎すぎるって…いやいや…と。

 明らかに恩返しにしては逸脱してるんですよ。怪しい変なオッサンですよ。
 私にとっちゃー雑渡さん超ナゾな人、
 っつーか、雑渡さんと伊作の関係って、原作読んでる限り超ナゾ。

 ナニコレ? さぐりあい? どゆこと?

 善法寺伊作氏がわりと謎なひとな上に、輪をかけて謎な雑渡昆奈門氏がいるとか…
 それでこの二人が会話してるともう色々脳内が大変なことになってしまうとか…
 やばいこのカップリング多分すごい楽しい。とちらっと思った。

 そんな折にぼーっと読んでたつどいレポ。に、こんな主旨の発言がありましたとのことよ。
『先生「雑渡さんが伊作にちょっかい出すのは、今まで周りにああいうタイプがいなくて面白いから。他意はない」
 雑伊者「面白いって理由だけであんなに優しくされたら切ない」
 先生「今後はどうなるかわかりませんが」』
 ……………。
 ユーリーイーカー!!
 あああああそれならわかる!萌える!私、雑伊が書ける!! と開眼。
 そういう視点なら私、伊作も雑渡さんも分かると思う。納得だ。
 そしたら何かカッときて、プロットができあがりました。そーゆーことでした。

 どーゆーことかと申しますと。
 ちょっくら原作を「そーゆー視点」で読み返してみましょう。
 雑渡さんと伊作の絡みってのは、少ないです。少ないですが、いちいち濃いです。
 そして、いちいち濃いがゆえにページ間で何があったのか物凄く妄想しないとおっつきません。


 37巻。
 雑渡さんと伊作が初めて出会ったのがこの巻。宿題バラバラ事件。今度映画(アニメ)になるらしいちょっとこわい。
 絡みっつーか会話っつーか、明確になっているのは一言。
 手当てをしている伊作に、足軽具足をつけた雑渡さんが後ろから一言「その包帯、すこしもらえないか?」
 で、後に明かされたことによりますと、その時伊作は
 雑渡さんの「包帯を巻き直してあげて、代わりに足軽兵の具足をもらった」のだと。
 (なんで伊作がここですでに雑渡さんが忍者だと気づいてるのかの理由づけで、
 この二人の関係性って相当に変わりそうな気がするよー…
 ていうか二人ともどんな理由づけでもどうにかなるあたり、ほんと、謎だらけ) 
 ……ってことはさ、実は雑渡さん個人の恩返しってとっくに終わってない?
 ちゃんとギブ&テイクじゃない? 包帯←→足軽具足。


 42巻。
 園田村防衛戦。
 しかしですね、ここで雑渡さんは「部下の手当てをしてくれたから」と伊作に会いに来ています。
 恩返しもちょっとはあったでしょうが、それよりも好奇心と思われます。
 だってあのやりとりがあるんです。
  雑「君は私ばかりでなく、タソガレドキ軍、オーマガトキ軍を問わず、倒れている者を手当てしていたが、なぜだ?」
  伊「それはぼくが保健委員だから」
  雑「おまえ、忍者に向いてないんじゃないか?」
  伊「みなさんそうおっしゃいます」
 この段階で、伊作は名乗ってないんですね、たぶん。
 37巻出会いの時にもお互い名乗らなかったし、雑渡さんは42巻のこの時名乗ったし。
 雑渡さんはもちろん伊作のことは調査済みでしょうが、にしたって「理由」のところは本人に聞かないとわからない。
 聞いたって「なんじゃそりゃ」な理由でしたが(笑)。
 ……雑渡さんと伊作の会話って、いちいち含みが多いんですよね。濃い。濃すぎる。
 雑渡さんのもたらした情報に不信感丸出しの伊作。
 まあ明らかに怪しいから忍たま六年生としては「素直すぎるけど普通」な反応な気が。
 でも雑渡さんたらちょっと不満そうなんですよね、伊作のその反応が。
 たぶん、もっと忍者してないと思ってたんだ。そらそうだろな。


 45巻。
 くせ者まんが。ちょっと後回し。だってこれ多分、時系列的には46巻と47巻の間に入るべきエピソードだろうから。
 医務室で夜食食うほど馴染んでる。保健委員会総出で馴染んでる。どんだけ。


 46巻。
 混合ダブルスサバイバルオリエンテーリング。
 この巻の前半と後半で、何やらすっごい進展がありましたよちょっと!という主張を今からします(笑)。
 37巻・42巻とどうも「ギブ&テイク」の関係な気がする雑渡さんと伊作。
 46巻前半も、その「ギブ&テイク」がものすごく発揮されてます。微妙に釣り合ってないけど。
 雑渡さんの押しが強すぎるけど(笑)。その押しの理由は…好奇心で片づけるにはすでに好意だよなあ(笑)。

 何の脈絡もなく(なわけでは本当はないけど)現れる雑渡さん。
 相変わらず不信感丸出し(くせ者扱い)な伊作。いいんだよ、くせ者だからいいんだよ。
 (「忍者に向いてない」を華麗にスルーするあたりとか、
 ホント、このあたりで私の伊作のイメージは相当変わった気がする(爆)…伊作についてで語りますそのへんは…)
 さて、さっきから言ってる「ギブ&テイク」ですが、
 この前半の会話の場合それは、「土井先生を部下が狙ってる」に対する
 「園田村で追跡を振り切られた六年生と五年生が雑渡さんを狙ってる」になります。描かれてるのはそうだよね。

 つけ加えて、描かれてませんがもう少し情報のやり取りがあるはずなんですよ、この46巻前半の会話。
 雑渡さんは土井先生を狙ってる部下が「若い」ってこと。+αもあったと思うけど。
 伊作は後半から考えるに「雷蔵と三郎」のこと。

 伊作は尊奈門と面識がありません。
 でも土井先生に伝えたのは「タソガレドキの若い忍者が~」
 ……なんで「若い」って知ってるかって、そりゃ聞いたんですね。誰に。雑渡さんに。

 ちなみに伊作は後半で雑渡さんが語るまんまを伝えたわけじゃないと思いますよ。
 だって雑渡さんのことだから軽くは調査済だろうし。
 「変装名人・鉢屋三郎、同級生の不破雷蔵の顔をほぼ常に借りている(素顔は誰も知らない)」くらいじゃないかな。

 え? 伊作の方が情報が多い?
 いやいや、雑渡さん、いくさじゃないとかドクタケがうろうろしてるとか、
 お水くれたりとか、そりゃーもう沢山情報等くれてますよ。

 この前半で雑渡さんは2回伊作に呼びかけますが「保健委員長くん」「保健委員さん」です。
 ………そう、まだ伊作はちゃんと名乗ってないんです。
 しかしもちろん雑渡さんは調査済みです。伊作のフルネーム知ってます。
 なので、本人がいないところではすでに「伊作くん」呼び。ははっはは。
 雑渡さんはこの巻「忍タマってカワイイなあ」って気持ちが妙に溢れ出てる気がする。

 さてさてさて、進展があったらしい後半の絡みですよ。
 すっかり懐いた伏木蔵。楽しく遊んじゃう雑渡さん。
 そして、うっかり伊作を攻撃。うろたえる雑渡さん。
 うろたえて、手当て。微妙に距離があるけど(笑)。
 おそらく……ここで…伊作はちゃんと雑渡さんに名乗った、と思われます。

 なぜなら、その後呼びかける時はちゃんと「伊作くん」だから。
 名乗ったんでしょうね。名乗ったんだよねっ!? (それでSS書いちゃったじゃんか)
 ここらで伊作の雑渡さんに対する不信感丸出しはきゅ~~っと治まって来ます。ていうか、信用し始めてます。
 ので、最後の最後の伏木蔵との会話になる。
  伊「『私はいつだって君たちの味方だよ』って組頭は言ってたけど」
  伏「ほんとに味方してくれたんですね」
  伊「そうだね」
 ………すごい進展じゃね?

 46巻まではギブ&テイクなんですよね。ゆる~い感じですが。
 一応、取引してる感じなんですよね。丸っと信頼してはいないんですね。


 47巻。
 文化祭。
 何 が あ っ た 。
 何があったの信頼ぶりー!
 ホントに何があった!?
 ここの間にくせ者まんがを置くにしたって、この信頼っぷり気の許しっぷり、
 なぜか伊作の部屋にある雑渡人形(伏木蔵に陣内氏がギニョールくれる前ですよっ)、
 ………こ、ここは妄想のしどころと見た…!
 雑伊的にはこの46巻から47巻の間に何がどう進展したのか考えねばならないと見た…!!


 ユーリーイーカー!
 ここで「面白いって理由だけであんなに優しくされたら切ない」が個人的にユリイカなんですよ。我発見せり!
 そうか、恋心を自覚したのは伊作が先なのか。と。目から鱗。
 や、47巻はまだ「くせ者扱い」をやめた→信頼への移行中だと思いますけど。

 ちょっと頻繁すぎる気がしないでもないんですけど、雑渡さんは大人な態度で伊作に接してます。
 イエスロリコンノータッチ。いや違う。あ、でも触ってませんけど、まじで。手当ても頬だし触れてるかあやしいです。
 ええと。下心っつーか好奇心ですよ。
 次何するのかな、どうするのかな、この子どこにいくのかな。わくわく。そんなん。

 何と言っても19歳の尊奈門を「若い」という雑渡さんにとっては、
 15歳の伊作なんて若いどころか「幼い」扱いになりかねませんよ。10歳の伏木蔵は完全「幼い」扱いだし。
 でもさ、雑渡さんって、茶目っ気ある大人で、人情に厚く義理堅く、しかしながら超プロの忍じゃないですか。
 そーゆー人が優しく接してくるとか、そりゃ惚れるしかないじゃないですか。元から稀代の人たらしですし。
 ここに立ちはだかってくるのが歳の差。21歳差。
 にじゅういっさいさぁ!?………無理だ(爆)。
 もう考えた瞬間、ほぼ当然のようにムリ!くさい。
 少なくとも自分基準で「下」に21歳差って…。いやいやいや。って気になる。
 しかし、同時に、自分から「上」に21歳差ってのは、恋とかいうものが目覚めちゃわないとも限りません。いけるか? いけるな!
 またまたユーリーイーカー!
 そうか!
 本気の自覚がすれ違っちゃったカプなんだな雑伊って!

 ………そう考えた結果、成就まで14年もかかる室町赤/十/字の雑伊です。

 伊作が先に本気になって、盛り上がって、諦めちゃって逃げた、ら、雑渡さんが本気になって追いかけたんだけど…
 ………ていう雑伊が、私は、書きたい(書けよ)。
 移り気×誘い→ストーカー×ツンツンツンツンツンツンデレへの移行です。それです。
 歳の差カップルの楽しいとこって、年下さんが対等に近づけるように背伸びして頑張るし、
 年上さんは「子」だと思ってた子は対等な「人」だったことに気づいてドキっとするとこだと思うんですよ。
 そんなわけで背伸びした伊作は、何をどうブロークンハートしちゃったのか、超ツンまれにデレになっちゃいましたけど(笑)。
 室町赤/十/字の雑伊は「はやくどっちでもいいから素直になれよ…」がコンセプトです(爆)。
 燃え上がるタイミングが同じだったら、サクっと終了しそうな恋なんだけどね。

 雑渡さんは伊作の「謎」なところに惚れてる。
 伊作は雑渡さんの「忍」なところに惚れてる。
 うまく書けたらいいなー。